2013年02月28日

背伸びをしている富士山

地球の大気は地表で濃く上空で薄いので,屈折率にムラがある。
そのため,太陽から地表に届く光は,大気内で曲がって進む。
これを大気差と呼んでいて,
例えば地平線上に見えている太陽が,実際の位置は太陽1個ぶんだけ下だったりする。


ここから70km先にある富士山頂は,本当にあそこにあるのだろうか?


と思ったので,Excelで計算してみた。

地表での気圧を1013.3hPa,気温を15℃,湿度を50%の屈折率を1.000276228とし,
各高度での気圧,気温は理科年表記載の標準大気のモデルに従って求め,
各高度での屈折率 n1 の算出は以下の式を用いた。

 n1 = 1 + (n0 - 1) * P / 1013.3 * T / 288.15

P はその高度での気圧(hPa),T は気温(℃),n0 は地表の空気の屈折率である。

計算結果は以下のグラフ。

20130228a.png

富士山から70km離れた観測点から,
レーザー光線を仰角2.0°,2.5°,3.0°,3.5°の方向に出すと,
光線がその後どういう軌跡を描くかを示している。

富士山の標高は3776mだが,地球は丸いので,
地球に大気が無い場合の見かけの標高は3400mほどになり,
山頂を見上げるときの仰角は2.77°になる。
言いかえれば,真空の場合,仰角2.77°でレーザー光を当てると山頂に当たる。

今回の計算によれば,大気がある場合,仰角3.03°でレーザー光を当てると山頂に当たる。
言いかえれば,富士山頂は仰角3.03°の方向に見えていることになる。


見かけと実際の山頂とのずれは0.26°。
これは太陽(月)0.5個分ほどになる。
このずれは,先日のパール富士(月が富士山頂に没する現象)の観測結果によく一致する。

結論: 70km先から見ると,富士山は太陽0.5個分だけ背伸びをしている。
posted by つかもと at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 理科っぽいもの
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